職場にこんな人はいませんか?
- 目を見て挨拶をしない
- 部下を怒鳴る
- 言葉遣いが失礼
- いつも打ち合わせに遅れてくる
私の職場には沢山います。
しかも、管理職に多いです。
しかし、このような人物は、チーム全体のパフォーマンスを低下させるガンです。
この記事では、TEDで話しているクリスティーン・ポラスについてご紹介します。
クリスティーン・ポラス
ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネス准教授
グーグル、ピクサー、国連、世界銀行、国際通貨基金、アメリカ労働省・財務省・司法省・国家安全保障局などで講演やコンサルティング活動を行っています。
TED 要約
あなたはどうなりたいか?
あなたがどうなりたいかは、あなたが毎日とる行動で決まります。
会社に行って、周囲の良いところを持ちあげてみんなの士気を高める行動を取ることもできます。
その反対に、相手に向かって無礼な態度や、強く当たって、相手を萎縮させたりすることもできます。
あなたが取る行動は、あなたの全てです。
Incivility(無礼)
Incivility は相手を見下したり、無礼な態度のことを言います。
(ハラスメントと言い換えてもいいかもしれません。)
- 人をけなす
- 嫌味を言う
- 嫌な思いをさせるジョークを言う
- 会議中に他の事をする
これらの捉え方は人それぞれで、受け手が失礼だと思えば、incivilな行為になります。
Incivility(無礼)の影響
クリスティーンの父親は、活動的でしたが、仕事関係のストレスで入院しました。
何十年も無礼な上司のもとで働いたことが原因でした。
その後クリスティーンも、大学卒業後、職場でIncivil(無礼)な経験をします。
「おまえはバカか?やり方が全然違う!!」
「お前の意見は聞いてない!」
こんな怒号が飛び交っていましたが、もちろんそんな職場は辞めました。
そしてIncivility(無礼)の影響について学びなおしました。
その結果、こうした無礼な行為は、より悪質な他人への攻撃や、他人への暴力に発展する可能性があることに気づきました。
無礼さはチームのパフォーマンスにも影響する。
ビジネススクールの卒業生を対象にある調査をしました。内容は、職場で受けた無礼な対応についてと、それを受け、どのように反応したかについてのアンケートでした。
「それは幼稚園児の仕事だ」と怒鳴られたり、資料を同僚の前で破られたりといった、回答が続々返ってきました。
そして、そのような対応を受けた卒業生はモチベーションが下がったという調査結果が出ました。
66%はやる気がなくなったと回答しました。
80%は起こったことを考えすぎて、時間を無駄にしたと回答しました。
12%は仕事を辞めたと回答しました。
この研究結果を公表すると、2種類の問い合わせを受けました。
一つは大企業からの問い合わせです。CISCOはこの調査結果をもとに社内の調査を行いましたが、保守的に見積もっても年間12億円はincivility(無礼)による損失が出ているという結果が出ました。
もう一つは学術界からで、「このことをどのように証明するのか?」ということです。
これについてさらに調査を行い、無礼な態度をとられたことが「ある」と回答した人のグループは、「ない」と回答したグループに比べ、機能が低下するという結果が出ました。
「それはそうだよね!」と思う方も多いと思いますが、この影響は無礼な対応を経験した本人だけでなく、その周りの人のパフォーマンスをも低下させることが分かりました。
Incivility(無礼)を目撃するだけでもパフォーマンスは下がる
別の調査では、仕掛人がわざと被験者の前で、もう一人の仕掛人を罵る行動をとり、目撃させました。
すると、被験者たちのパフォーマンスは劇的に下がりました。
そしてInciviliy(無礼)は伝染し、職場のみならず、学校や家庭や交友関係にも影響を及ぼします。
しかも、自分が経験したり目撃するだけでなく、聞いたり読んだりするだけでも悪影響があります。
医療の現場の例があります。
とある医者は部下にいつも怒鳴りつけるなどの無礼な態度をとる人でした。ある日の手術中に、医者が怒鳴るシーンがあり、その直後にスタッフの一人が誤った分量の薬を投薬してしまいました。正しい分量の情報は全員の目の前にあったにもかかわらず、全員が見落としてしまいました。
「注意がそれた」という簡単なミスかもしれませんが、その患者は亡くなりました。
このような現象はあらゆる業界で見られます。
なぜIncivility(無礼)は無くならないか
Incivility(無礼) が無くならない理由の一つはストレスです。
そしてもう一つは、礼儀正しいせいで、強いリーダーとして見られないのではないか?という不安です。
しかし、これは間違っていると数々の研究で証明されています。失脚の要因のほとんどが、高圧的なスタイルでの経営という研究結果もあります。
では、礼儀正しい人はどうでしょう?礼儀正しく振舞っている人は成功しているのでしょうか?
答えは「YES」です。
Civil(礼儀正しい)な人は成功する?
礼儀正しいとは、無礼ではないというだけではありません。
自然に笑顔で挨拶したり、人が話しているときに集中して聞くなど、小さなことをできる人が礼儀正しい人です。
このような人は、もし意見が食い違っても、礼儀正しく正々堂々と自分の意見を話すことが出来ます。
このような人物は、パフォーマンスが高くリーダーとして尊敬されていることが、調査結果でもわかっています。周囲からは「暖かく」「有能」と認識されています。
礼儀正しい人であることは、周囲のパフォーマンスを持ち上げるだけでなく、自分自身をも成功に導きます、
世界中の20,000の従業員に、「リーダーから求めるもの」を聞きました。
その結果、一番リーダーから求めるものはリスペクトだとわかりました。
自己成長の機会、感謝、ためになるフィードバックより上です。
リスペクトされていると感じている社員は、健康で、集中力も高く、組織に長く尽くし、エンゲージメントも高いという結果も出ています。
なにから始める?
礼儀正しい環境をつくるのにむつかしいことは必要ありません。
笑いかけたり、人の話をよく聞いたり、挨拶をしたり小さなことから始められます。
キャンベル(アメリカのスープの会社)のCEOが着任当初、業績は低迷しており、労働環境は最悪でした。
彼は建て直すときに「高いパフォーマンス基準」と「人への礼儀正しさ」を求めました。
従業員一人一人に感謝の手紙を送るなど、働く人が「存在を認めてもいらえている」という空気を作り出し、管理職にも環境整備を徹底させました。すると5年後には、業績も回復し、「最も働きたい職場」にも選ばれました。
この例のように、一人ひとりが関わり合いの中で、相手への敬意を忘れずに礼儀正しい行動をしていきましょう。
礼儀正しくすることは、それだけの価値があります。
まとめ
日本の会社では、部活動の延長で仕事でも後輩への指導と称して、いじめのようなことが当たり前のよう行われています。
そして、そのように無礼で怒鳴り散らす人ほど、「指導に積極的」などと評価され、出世することもあります。
大量生産で、やるべき作業をひたすら計画通りやればよかった時代は、それでもよかったのかもしれません。
しかし今はVUCAといわれる変化が激しい時代で、一人ひとりが知恵を出し合い、協力していく必要があります。
そうしたプロジェクトの人選を任される立場であれば、Incivilな人をどれだけ優秀でもメンバーに加えてはいけません。
そして、自分自身も無礼な人になってはいけません。
どんな相手でも敬意を払って、礼儀正しく行動することを心がけましょう。
TEDはこのような人生の価値観が変わるような研究成果を見ることができます。
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